名古屋市、集客増見込めず 存続求める声も
名古屋市は入館者の減少が続く「ランの館」(中区)を2013年度末で廃止することを決めた。近く民間シンクタンクに委託し、施設や敷地の新たな活用策を探る。
ランの館は、愛知県が生産高日本一を誇るランの花のミニテーマパークとして1998年にオープン。当初は40万人近い入館者でにぎわったものの、人気が定着せず、ここ数年は14万人前後に落ち込んでいた。
市は昨年度、1億1000万円の事業費を指定管理者に支出。昨年10月の市の事業仕分けでは「他の市有施設と比べても魅力が乏しく、費用対効果が疑問」などとして「廃止」の判定を受けた。
市は慎重に存廃を検討してきたが、河村たかし市長が事業仕分けの結果を重視していることや、今後も大幅な集客力の向上が見込めず、事業継続は難しいと判断した。
5月中に民間シンクタンクを通じ、新たな事業展開に関する調査を開始。民間事業者を対象に参入への関心度を調べる。ランの館は都市公園内にあるため、飲食や物販でも一定の公益性が必要で、どんな事業が可能か、絞り込む。
12年度中に新事業の方向性をまとめ、13年度には事業者を選ぶ。公募の際は企画提案型のプロポーザル方式の導入を検討する。
ランの館をめぐっては地元商店街や、愛好者団体による存続の要望も根強い。3月までに存続を求める計6200人分の署名を提出した「名古屋愛蘭会」の成田平一会長(77)は「ランの館は名古屋だけでなく、岐阜や三重からも花好きの人たちが集い、文化の発信拠点となっている。近くに代替施設は見当たらず、今後も粘り強く存続を呼びかけていきたい」と話す。
(2012年5月8日)
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