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ビー・エム・ダブリュー、尿素SCRを使ってポスト新長期規制に適合した「X5 xDrive35d」を発売
2012/03/05 19:27
ビー・エム・ダブリューは、ディーゼルエンジンで駆動するSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)「X5 xDrive35d」を発売し、2012年2月下旬から納車を始めた。尿素SCR(選択触媒還元)を採用してポスト新長期規制に適合した。
エンジンは「N57D30A」。従来から欧州市場で売っていた直列6気筒DOHC、排気量3.0Lの「N57D30U0」に尿素SCRシステムを加えたものだ。ボアピッチ、燃焼室形状などの基本寸法はN57D30U0そのもの。最大噴射圧1800barのピエゾインジェクタ、可変ジオメトリーのターボチャージャ、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)といった装備も同じだ。
N57D30U0は既にDPFを装備して欧州の「Euro5」を満たしていた。今回、尿素SCRによって排ガスの水準を「Euro 6」対応と、一段階高めた。
「Euro 6」と日本の「ポスト新長期規制」は測定モードなどが違うのだが、N57D30Aは結果として欧州仕様のまま何も変えずにポスト新長期規制を満たすことができた。車両全体としても、英国など右ハンドル地域向けの車両そのまま。メータの文字を変えるような微調整をしただけで、特別な日本仕様は作らない。生産も日本向け、欧州向けを同時に始める。日欧とも米国の工場から供給するので、納車開始もほぼ同時になる。
トルクは1750~3000rpmにわたって540N・m(55.1kg・m)、最高出力は180kW(245ps)。これはガソリンエンジンではV型8気筒4.4Lの「N63」と並ぶ数字である。
尿素SCRはNOx(窒素酸化物)を後で処理するため燃焼温度を高めにでき、またDPFを再生する頻度を減らせることもあって燃費を良くできる。エンジン以外にも8速自動変速機、ブレーキエネルギ回生装置を組み合わせて燃費を向上させた。JC08モードの燃費は11.0km/L。同じ3Lの直列6気筒ガソリンエンジンを搭載した「X5 xDrive35i」と比べて約30%向上した。
これをハイオクタンガソリンが156円/L、軽油が126円/Lという現在の燃料価格に当てはめて比較すると、年間1万km走るユーザーはガソリン車では年間18万3500円支払うことになるが、ディーゼル車では11万4500円で済む。
普通、こうした比較をする場合、「ディーゼル車はイニシャルコストは高いが、ランニングコストが安いので元が取れる」という比べ方をされることが多いが、今回はイニシャルコストで既に安くなる。価格は839万円だが、「エコカー減税」を受け、「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」または「エコカー補助金(環境対応車普及促進対策費)」を受けるとガソリン車よりも安い。
尿素水のタンクは必要な容積を1個で満たす場所がなかったため2個を分散配置した。エンジンのそばに5.7Lのものが1個、助手席の下に16Lのものが1個だ。尿素水は前のフードを開けて注入する。注入口はそれぞれのタンクに対応し、エンジンの右と左に2カ所ある。
SUVは車体が重いこともあって低回転でトルクが大きいことが評価される。現在「X5」のうちディーゼル車の比率は英国、フランス、イタリアで98%、スペインで96%、ドイツで93%と、ガソリン車を圧倒している。このため「X5」が一番手に選ばれたようだ。ただし同社は新エンジンをX5専用と考えているわけではなく、引き続き、セダン、ツーリングの各車種に採用を進めていくという。
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